【書評】江戸打入り(半村良)

江戸打入り(半村良・作)を読んだ。著者は1933年10月27日生まれ~2002年3月4日没の作家で、
SF小説と歴史小説に才能を発揮し、東京下町の人情小説でも鳴らした方である。SF小説で直木賞候補に
なったあと、それが審査員に不評と見るや、「こういうのもできるのですよ」ということで、下町人情
もので直木賞を受賞した。いかにも苦労人らしい重層的な書き方をする人である。私は半村氏の
作品が非常に好きである。この小説も二度目の読破になるが、今度ちゃんと読んでしみじみと感心した。

例の江戸しぐさなどが全くいい加減に考えている、家康の江戸移転について、非常に細かく、よく調べられており、
史料の考証も一々考えさせられるものである。

物語は半武半農の下級武士、鈴木金七郎の視点で語られる。深溝松平家の松平家忠の家臣になった金七郎と、その周りの人足とも武士とも付かない、後世の歴史学では「武家奉公人」と一纏めにされている下積みの人々の目線から、家康の江戸移転が語られる。とにかく、故郷を突然秀吉の命令で離れなければならないことになり、これまでの農村の暮らしを捨てざるをえないこととなった鈴木金七郎のショックと、右も左も分からない寒村(!)での新しい暮らしへの不安が実によく描かれている。そう、1590年当時の江戸は寒村なのだった。
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プロフィール

松平俊介

Author:松平俊介
松平俊介(まつだいら・しゅんすけ)
雑誌ライターやwebディレクターをしております。webデザインからwebマーケティング、ライターまで何でもやっております。これまでに色々なプロモーションを手がけて参りました。過去には週刊SPA!等に関わっておりましたが、現在は「連載JP」(東京産業新聞社)や、neverまとめ(NHNジャパン)を中心に執筆しております。
趣味は街歩きと歴史研究です。

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